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はうとぅ独占インタビュー
〜指導者たちが語るカンボジアという国〜
HE. Lay Prohas (ライ・プロホッ)
観光省大臣

数年前まで「未開の地」として、日本人には知られざるところのカンボジアだった。ところが経済の発展と治安状況の安定に比例して、一般観光客の数はうなぎのぼりである。日本人の海外旅行先としても、もはや世界遺産アンコール・ワットは流行りの観光地である。2006年の今、なぜカンボジアはこんなに人気なのか、どうして人を惹き付けてやまないのか。魅力のスポットや自身の体験と併せて、国の観光を司る観光省大臣に話を聞いた。
Q.1 観光省の役割を教えてください。
A.1 観光省の役割として、先ず1つめは、カンボジアについてできるだけ多くの情報や現状を、海外に向けて発信することです。その目的は、大勢の観光旅行客に来て貰い、カンボジアの観光業界を活性化させるためです。カンボジアの正確な情報や治安の安定状況を、また、カンボジア政府だけではなく、カンボジア国民が皆様のご来訪を暖かく歓迎している、ということを知っていただきたいのです。
2つめは、観光分野の管理と発展に関わることです。それは、旅行者の皆様が安心してホテルやレストランを利用していただけるよう管理したり、レジャー施設や観光地を開発していくことです。観光客を守り、国民をも守ります。
3つめは、観光と関連している政府機関との協力や連携です。例えば、環境省とは環境保全と観光開発の調整、文化芸術省とは文化財の保護などです。
4つめは、イベント開催です。例えば、クメール文化を発表する場を設け、皆様に来ていただくことなどです。
5つめは、政府機関として観光分野全体の将来目標を決めていく役割です。
更に、観光分野のカンボジア政府機関として、対外的な役割も担っています。以上のように、観光に関わる全般を統括しています。
Q.2 カンボジアの観光名所といえばなんと言っても世界遺産アンコール遺跡。現在、カンボジアに訪れる観光客の数はどれくらいですか? どれくらいの割合で増えていますか? 日本人観光客は?
A.2 アンコール遺跡は、ユネスコの世界遺産として第7番めに登録されました。世界遺産巡りをしていたある旅人が、いろいろ回ったけれど、アンコールの遺跡は世界で1番だと言ったと聞いています。まさしくカンボジアにとっては、アンコールは世界一の遺産です。
世界中から観光に訪れる人々の数は、毎年増加の一方です。2003年には「ヴィジット・カンボジア・イヤー(カンボジアへ行こう年)」と名付け、いよいよ100万人を超える観光客を見込んでおり、見事目標を達成しました。昨年の2005年には140万人もの観光客を迎えることができました。内、およそ10万人が日本人観光客で、国別に分けてみると第2位の訪問者数となります。観光に来るお客様たちがより快適に過ごせるように、施設やサービスも益々充実させていけるよう、観光省としても努力しております。
Q.3 カンボジアの産業の中で大切な位置を占める「観光」。国として、地域として、観光の発展によって国が得るものとはなんですか? 国民はどう受け止めていますか?
A.3 観光客がカンボジアを訪問する度に、ただ観光をするだけではなくて、滞在期間にお金を使います。たとえば2005年には年間14億ドルの観光収入がありました。これは支援国から国に入る援助資金の2倍にあたります。
この観光で得た収入が活かされるのは、人々が集まる観光地、「観光」自体に直接関わるものだけへではなく、ほかの分野にも波及します。お客さんが果物を食べれば、その果物を売る八百屋だけでなく、作っている農家も潤います。それは農業の向上にもつながるのです。また、土産物を買って帰るお客さんのために、工芸品を作りることは、手工業の向上につながるだけでなく、国の文化の復興、奨励に大きく貢献しているのです。
自分たちの国に、世界中の国から観光客が集まってくる。自分たちの誇りに思っているものを観に、味わいに、来てくれる。それは迎えるカンボジア人たちにとって、非常に喜ばしいことなのです。お客さんが気に入って購入してくれるということは、実質的に生活を助けているということです。対外評価の結果であれば、自信につながり、更なる向上心を掻き立ててくれるわけです。
Q.4 日本からの直行便が将来飛ぶ予定は?そのほか、アクセスの向上について?
A.4 日本からの直行便は、今のところチャーターに留まっていますが、将来にむけて、内外に呼びかけています。日本からは現在、タイ・バンコク経由、ベトナム・ホーチミン経由、マレーシア・クアラランプール経由、香港経由などで乗り継いでお越しいただくことができます。陸路での往来も楽になりました。たとえば以前だと8時間近くかかっていたプノンペン−シェムリアップ間を繋ぐ国道6号線は、全面補修工事によって5時間に短縮されました。バスも定期的に運行していますので、近隣諸国からの節約旅行にも思い立ったら簡単にいらしていただけます。現在日本の援助で着工している国道1号線の全面補修工事が終わりますと、ホーチミン−プノンペン−バンコク間がぐんと縮まり、将来的にますます陸路での移動が増えることが見込まれます。
Q.5 アンコール遺跡以外の、シェムリアップの魅力とは何ですか。
A.5 シェムリアップの町は、ほかの国の有名な観光地と違って、交通の混雑がありません。のんびり、気楽に楽しめることができます。会議に出席するためにやって来たとしても、仕事をしながら、遊ぶこともできる。私はシェムリアップを、「世界の故郷」だと呼んでいます。
ただ来て帰るだけでなく、できれば長く滞在し、寛いでいっていただきたいと、心から願います。もちろん1度来て終わりなのではなく、帰った後も気持ちのつながりがあって、再度来ていただけるようであればなお嬉しい。
これもアンコール遺跡の一部ではあるのですが、アンコールを楽しめるのは寺院そのものだけではありません。遺跡を囲む森林には緑風が清々しく、その周辺には水をたたえた美しい風景が広がり、自然とはこんなにも心地良かったのかと微笑みが出るほどです。
また、文化を理解していただくと、より充実した寺院の訪問ができるのではないかと思います。たとえば、アンコール・ワットはカンボジア人にとって、聖なる場所としてお祈りを捧げる対象です。静謐なる雰囲気に、思いも寄らずそのような気持ちになる方もきっと多いのかもしれません。心が清められる場所でもあります。アンコール・ワットの訪問は、セラピーのようだと言う人もいます。寺院の持つ荘厳な雰囲気と、また一方自然を実感することとで、治療薬のように染み渡ります。
建築物以外にもぜひご覧になっていただきたいのが、この自然です。そして現地のカンボジア人の生活を覗いてみると、自然と人間は共存しているのだということがお分かりになると思います。もしお時間がありましたら、トンレサップ湖に行ってみるとおもしろいでしょう。水上に生活する人々の住居や学校を見学することもできます。この湖の水はプノンペンにつづくサップ川から流れており、ボートで行き来もできます。ひとたび湖上に出ると、あまりの広大さに海のようかと思う方も多いほどです。生息する野生動物の種類は数知れず、魚も豊富なので釣りファンには持って来いです。
Q.6 観光客に対してサービスの向上をはかるために、どんな対策がありますか?
A.6 団体ツアーから単独旅行者まで、さまざまなタイプの旅行者が増えました。そういった傾向に対応して、すでに現役をリタイアしたお年寄りや、家族連れにも満足いただけるようなホテルが増えました。それはたとえば英語が苦手なお客さまでも、日本語ができるスタッフが待機していればいつでも自由に注文できる、そういった具合に宿泊施設は向上していっています。
シェムリアップにはたくさんの素晴らしいホテルがあります。個人の邸宅を思わせるような落ち着きある構え、一方、異国の地であることを存分に味わえる造り。現代的でスタイリッシュな装飾からコロニアル様式の建物、ヨーロッパ式、アジア風など、それぞれの違った趣旨で造られています。静かな立地に広い庭、リゾートと呼ぶにふさわしい空間、水と緑に囲まれたカンボジア伝統建築のヴィラなど、例を挙げればきりがありません。 寝ることだけが目的の滞在だけでなく、宿泊そのものを楽しめるホテルから、低予算でも我が家のように寛げるゲストハウスまで、数えられないほどの選択肢ができました。2006年にはゴルフコースを新しく設立したホテルもあります。
最近のシェムリアップでの流行りはスパです。ホテル内に併設されたスパの他に専門店も登場し、技術は海外から取り入れた国際的な水準で提供しています。疲れを解し、肌の美しさを守るスパ・トリートメントなどですが、もちろんカンボジアの伝統マッサージも負けていません。質の高い娯楽施設とサービをますます充実させて、もっともっと観光客の皆様自身のお好みの旅を作ることができるように。
近年の発展によって、昼間だけではなく、夜も楽しめる町となってきました。食事やお酒は旅を彩る必需品です。レストランやパブは、数だけでなく種類もさまざま。インターナショナル、ヨーロピアンからアジアまで、もちろん和食も、選り取りみどりです。
最近は、団体のパッケージツアーだけでなく、個人旅行や少人数のグループで、滞在期間中の観光も自分たちでアレンジする人たちも増えています。そこで、移動やツアーの手配、買い物などでトラブルが発生しないよう、ガイドや商店、飲食店の人間を指導するのも観光省の仕事です。
Q.7
カンボジアの観光地といえば、アンコール遺跡のあるシェムリアップ州が有名ですが、国内の他の魅力ある地域について、教えてください。
A.7 カンボジア観光省では、国内で簡単に行けて楽しめる地域として、4つに分類して紹介しています。
まず1つめは〈文化地域〉と称して、シェムリアップ州に加えて、森のあるコンポントム州、特徴のある寺があるプレァヴィヒア州、バンテアイチュマーのあるオドンミアンチェイ州の4州を指定しています。
2つめは〈首都・プノンペン〉です。 国の中心地ですから、政治経済に主要な建物も、人も物も情報も集まっています。観光客のみならず、ビジネスのために滞在する外国人も多いため、宿泊施設や飲食店は多様に揃っています。世界中の国旗がはためくリバーサイドには、レストランやバー、土産物屋など店々が軒を連ね、常に賑わっています。この川こそが、シェムリアップまで流れるサップ川で、ちょうどメコン川との合流地点を臨む位置に王宮が建てられています。またすぐそばには国立博物館があり、一帯は主な観光名所となっています。
プノンペンにいらしたらぜひ……、一番知っておいていただきたいのが、夕方から夜にかけての時間帯の、この川です。私自身がまたすぐやりたいと思いつくことなのですが、午後5時−7時頃、貸切の遊覧船に乗ることができます。気の合う仲間内で集まり、食べ物、飲み物を持ち寄って、船の上でちょっとしたパーティーを行うなんて粋だと思いませんか。ある晩、私はたまたま満月の時にこの船に乗る機会があったのです。水上で月の明かりを浴びました。最高の贅沢です。下を見ると、今度は水面に月光が反射していて、川の中に揺れる明かりを見つめながら、自分がまるで自然と一体化したかのような感覚に取り巻かれました。これはまだ誰にも話したことがなかったのですが……私の体験したことです。本当に美しかった。月の明かりはとてもロマンティックです。
それからもうひとつ、プノンペンを訪問したら、住人と触れ合ってみて欲しいですね。店や娯楽施設でも、シェムリアップに比べて、市民のための場所が多くあります。市場でも、商店でも、時間のあるときでしたらぜひ話しかけてみてください。若しくはカンボジア人の方から、声をかけてくるかもしれません。気さくで人懐こい性格なのですよ。市内からは少し離れた場所にも、訪れてみるとおもしろいところがいろいろあります。日本友好橋から車で30分程行った先にある、プレックピアップという地域は地元の人たちにとても人気があります。のどかな風景がつづく道沿いにずっと店が並び、そこではハンモックに揺られながらとうもろこしを食べて、おしゃべりをして、昼寝をして……一日中のんびりと寛いで過ごすのです。最近は町にも映画館やショッピングセンター、カフェやハンバーガーショップなどがどんどん増えていますが、こういった都会からちょっと外れたところも、若者同士がデートに誘い合って行くのにポピュラーなところなんですよ。
3つ目はカンボジアの〈海〉です。地域としてはカンポット、ケップ、シアヌークビル、コッコンです。この海岸線近くには豊富に島があり、自然環境がそのまま残されています。大自然の中で新鮮な空気を味わえますよ。シアヌークビルはリゾート地としての開発も進んで近代的なホテルもありますが、喧騒からかけ離れた静けさの中で寛ぐことができます。また、マリンスポーツや釣りも楽しんでいただけます。
4つ目は山岳地帯のカンボジア〈東北地域〉です。ストゥン・トレイン、モンドルキリ、ラタナキリです。この地域では少数民族の生活や文化に触れ、運が良ければ野生動物に巡り会えるかもしれません。ただ、そういった地域であり、観光地としてほとんど開発されていないため、立派なホテルはまだできていません。ですから多少の覚悟は要りますが、自然派の旅行者には「エコツーリズム」、「アドベンチャーツーリズム」が楽しめます。
ラタナキリの森林に囲まれたところに「ジャラオ」という湖があります。以前はラタナキリにすら容易に行けなかったのですが、今では飛行場も整備し直され、訪れることができるようになりました。これもジャラオ湖を訪れた際の私自身の体験をお話しますと、大自然の静寂に包まれた湖水は、世俗を拒否するかのように冷たいのですが、その水で沐浴をしたときに、抱えていた問題やストレスから解き放たれ、癒されていくのを感じ取ることができました。それから私は「聖なる湖」と呼んでいます。
Q.8 お話の途中ですが、一時期飛んでいた定期便が今は無いのではないですか?
A.8 確かに、今は定期便が無くなってしまいました。それは利用者の数が問題なのです。
旅行者の皆さんがラタナキリ観光にもっと興味をもって、旅行者が増えていけばまた定期便が飛ぶことになりますよ。今までお話した中で、私自身の体験も語ってきましたが、シェムリアップへ戻ってもう一つお話します。夜のアンコール遺跡群の神秘さです。
ほとんどの観光旅行者は、暁光に浮かぶアンコール・ワットのシルエットや夕映えに染まった遺跡の風景をご覧になるのですが、満月の明かりを纏っただけの遺跡も荘厳ですよ。
7年ほど前のことですが、私は偶然に月夜のバイヨンを見る機会がありました。夜の静けさの中で、周りの樹木や自然の生命を感じながら、とても気持ちが良い安らぎを感じました。
夜は遺跡内部へ入れませんが、「聖なる地」で自然の力を感じ、遺跡やその周りすべてが自分の物となり、一体化する。そういった体験ができるということも、知っていただきたい風景の1つです。
私の考えですが、いわゆる五感だけではなく、Split(精神)の感覚とHeart(心)の感覚も数え、人間には七感があると思うのです。カンボジアを訪れる旅行者の皆様には、この「聖なる地」に漲る力を体感し、内在する問題を癒し、パワーを感じて、自国に持ち帰っていただきたいと思っています。
Q.9 読者の皆様、日本人観光客の皆様にメッセージをお願いします。
A.9 まず、ぜひお越しになってください。必ず歓迎いたします。カンボジアには様々な分野の文化や伝統があります。その文化や伝統は今の時代へも受け継がれていますので、時代を遡って体験していただけます。もう一つは、カンボジアには偉大なるアンコール遺跡群があります。そして、まだ不安を感じる方もいらっしゃるようですが、今のカンボジアは安全で平和になっていることです。更にカンボジアには、他のアジア諸国には見られない、多くの特徴がありますので、アジア観光に来る欧米の旅行者は必ずと言ってよい程、カンボジアも訪問してくださいます。
最後にもう一度、日本の皆様もぜひカンボジアへお越しいただけることを、カンボジア国民とともにお待ちしております。
H.E. Lay Prohas
ライ・プロホッ 観光省大臣
1965年4月20日生まれ
オーストラリア・メルボルン大学卒
観光経済学BBA取得、公認会計士
1988-1990 年:国際的な企業の管理財政
1990-1993 年:管理財政、私用投資及び外国の援助
1993年 :地方計画省副大臣
1993-1998年:計画省副副大臣、経済計画学会、Seilaプログラム及びGMS
1998-2003年:計画省副大臣、経済開発計画学会、公共投資プログラム、国民の窮乏の減少作戦及びプログラム、国民統計協会担当、Seilaプログラム
2004-2006年現在:観光省大臣

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