|
はうとぅ独占インタビュー
〜指導者たちが語るカンボジアという国〜
H.E. Sok Chenda Sophea
(ソク・チェンダ・ソピア)
首相経済アドバイザー、カンボジア開発評議会事務局長

カンボジア王国内SEZ開発地図
はうとぅ編集部(以下HT):1.カンボジア政府は他の東南アジア諸国の外資法と違い、内外無差別な投資法を制定しております。それに拠って、外国人・外国企業もカンボジア人と同等のビジネスが出来ることになっております。カンボジアの投資政策の基本的考えは何でしょうか?
H.E. ソク
チェンダ:カンボジア政府は1994年8月投資法を制定しました。内外無差別な投資法を制定した目的は、我が国は約20年に及ぶ内戦を経て、1993年の総選挙を以って政治的に安定しましたが、カンボジア政府の力だけで経済復興に努めても、他のアジア諸国の経済レベルとの遅れを取り戻せないでしょう。カンボジアの経済問題解決のために、民間の力や投資家にも協力して貰い、経済復興を実現させることを優先した政策です。その政策に従って、カンボジア政府は他の東南アジア諸国とは異なり、例えば銀行や保険、通信といった事業ですら、外国資本100%を認めています。そのことからも、カンボジアの投資法では内外無差別であることが窺える筈です。
HT:2.先の6月14日に、当時の日本の安倍首相とフンセン首相との間で調印された「日本カンボジア投資協定」が近々批准されると聞いております。2国間の投資の促進を主眼としたこの協定の効力が発生されると、日本の民間企業にとって投資環境が改善され、投資の誘致が期待されます。カンボジア政府側が期待するものは何でしょうか?
H.E. ソク
チェンダ:日本からの企業誘致で、隣国タイにあるトヨタ自動車の工場やマレーシアにある松下電器のテレビ工場がカンボジアへ移転して来る様な夢を見ている訳ではありません。しかし、自動車の生産に必要な様々な部品、その内の2〜3個の部品工場をカンボジアに建てて頂くだけでも良いのです。例えば、カンボジアは天然ゴムの生産地ですが、ゴム部品をカンボジアで作り、タイやマレーシアへ持っていくような、カンボジアに適した部品や製品の生産工場が出来れば良いのです。
カンボジアは総選挙が実施された1993年以降、日本政府、国民から絶大な援助を頂いております。学校、病院を始め、架橋・道路建設、港湾整備などのインフラ整備から人材育成、法整備などあらゆる支援を頂いてきていますが、日本企業の民間投資はまだ僅かしか来ていません。政府からの支援・援助が一翼ならば、もう一方の翼である民間企業からの経済・産業、技術などの支援をして頂ける事を期待しているのです。カンボジア人は日本に対して恩を感じています。恩返しをしたいのです。日本が産業誘致に不可欠なインフラ等の整備を行って、それらを利用しているのは殆ど他国の人々、企業である現状は誠に残念です。



カンボジアには様々な未開発資源があります。近年、日本からベトナムやタイに投資がなされていますが、それは人口が7,000万人、8,000万人という国内マーケットを考えれば、人口数1,400万人しかいないカンボジアは魅力が少ない事は仕方ありませんが、広範囲で見ればその両国とカンボジアは陸路で繋がっているのですから、生産拠点としてカンボジア見て頂き、両国へ輸送・輸出すれば良いのではないでしょうか。過去、日本企業は中国に膨大な投資を行い、今、中国本土から移転しようとしていますが、移転先として是非カンボジアを検討して下さい。労働賃金は安く、関税率は低いのですから。
HT:3.カンボジア政府は、条件付ではありますが投資優遇措置を受けられるQIP(適格投資プロジェクト)業種、経済特別区(SEZ)内にはさらにインセンティブを与えて企業誘致に努めていますが、小規模の投資でも優遇措置を受けられる様に、条件を緩和していく考えはありますか?
H.E. ソク
チェンダ:SEZの制度を2006年初めから始めました。現状のカンボジアの国庫収入面から見ると、カンボジアの産業は縫製産業と観光産業の2本柱しかありません。新しい柱としてSEZを確立するために、フン・セン首相自身が率先して行動しています。私は商務面でSEZのAからZまでサポートし、投資環境を整備しております。
QIPの適格業種の条件として10万ドル以上としているのは、国家税収の問題も何とかしなければならないからです。誰もが無税、免税を望んでいるでしょうが、政府として税収を得る為には、何処かで線引きしなければならないのです。政府は税金から予算を組み、公共整備、補修を行い、又、公務員に給与を払っていかなければなりません。ですから、その点にはご理解頂けなければなりません。


HT:4.カンボジア政府が掲げる、貧困撲滅政策を考えると、カンボジア人口の8割近くを占める農業従事者の経済の向上が必須だと考えます。CDCで管轄するQIP適格とみなされ優遇措置が受けられる農業関連の投資プロジェクトは加工等を伴った、50万ドル以上の投資に限られていますが如何してなのでしょうか?カンボジアの産業構造を見れば、豊かな農地を視野に、農業関連ビジネスを考える日本人投資家は多くいると思います。農業分野への投資環境や現況を教えてください。
H.E. ソク
チェンダ:指摘の通り、カンボジア政府が重要政策として掲げている、貧困撲滅を達成する為には農業従事者の所得向上が不可欠です。当然、カンボジア政府は農業分野への投資を歓迎しています。そして、この分野には雇用を創出する能力があると確信しています。それが貧困の緩和へと繋がっていくでしょう。CDCはこの2年間で農業分野のプロジェクトとして、ゴム園、キャサバ農園、アカシア樹の植林などの多くのプロジェクトを認可してきました。それらの内外の投資によって、長期に亘った雇用創出が約束されています。
農産品加工事業でQIPが受けられる投資は、50万ドル以上としていますが、それは農産品の輸出加工となれば、冷蔵・冷凍の輸送や保管設備や加工設備の導入が必要となる筈です。それらの機械や設備を導入すれば投
資額として50万ドル位は必要になると思います。そしてその投資も、貧しい農村部に雇用と安定した所得をもたらしてくれる事となるでしょう。
又、石油や天然ガスの国際価格の高騰から、投資家はバイオ・フューエルを含め代替燃料の生産を検討しています。投資家は肥沃な土地を農業用地とし、痩せた土地はジャトロファ(バイオ・ディーゼル)栽培用地として、と言う様に、土地に合った作物を育て、活用してくれると思っています。それは、投資家たちはより利益を生む投資を良く分かっているからです。
カンボジアの投資環境
:投資法は1994年に制定され、2003年の改正投資法によって大幅に改定された。
カンボジアの投資環境は、外国からの直接投資をカンボジアの経済復興・開発に寄与するものと位置付け、奨励している。外国法人に対しては、土地所有の制限とカンボジア人の雇用割合を義務付けている以外は、基本的に内国法人と差別なく扱われる。
カンボジアへの投資は商業省への登録及び関連業務上の許認可を取得することが求められているだけであるが、投資優遇措置の適用を求める場合においては、CDC(
Council for the Development of Cambodia:カンボジア開発評議会) 又はPMIS(
Sub-Committee on Investment of the
Provinces-Municipalities:州-特別市投資小委員会)に投資登録を申請し、投資ライセンスを取得する必要がある。
投資ライセンスを取得した投資プロジェクトはQIP(Qualified
Investment
Project:適格投資プロジェクト)として、法人税・生産設備及び建設資材等に掛かる輸入税・輸出税において優遇措置を受ける対象となる。但し、優遇措置付与に必要とされる投資に、投資最小額や条件を定めている。
SEZ(Special Economic
Zone:経済特別区)は一定面積以上の閉じられた区域内に、カンボジア経済特区委員会によって経済特区の運営・管理を担う経済特区管理事務所が設置され、特区内投資家のために全ての産業関連の活動・手続きを助成するサービスが付与される経済開発のための特別な区域。特区内投資家は優遇措置付与の対象となる。

H.E. Sok Chenda Sophea
ソク・チェンダ・ソピア
首相経済アドバイザー
カンボジア開発評議会事務局長
経歴:フランスで経済学部を卒業後、1993年観光省次官。
1997年からカンボジア開発評議会事務局長

|