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はうとぅ独占インタビュー 〜指導者たちが語るカンボジアという国〜
H.E. Vong Sauth
ボン・ソォット労働・職業訓練省大臣
カンボジアの労働者の雇用創出と投資環境、人材育成と海外派遣。
長年に亘る内戦を終え、カンボジア王国は政治的にも安定し、近年は毎年8%以上の経済発展を続けています。
1.そこで、大臣へお聴きしたいのですが、現在、海外からの投資企業に勤める労働者数は何万人ほどなのでしょうか?
その前に先ず、カンボジア政府とカンボジア国民の代表として日本国民と日本政府へ、内戦終結以降のカンボジアへ日本の皆さんから多くの援助、支援を頂いている事に、感謝の意をお伝えします。
カンボジア復興援助を通し、カンボジアと日本との友好関係は益々深くなってきています。「日本カンボジア投資協定」締結の下に、我々カンボジア政府は日本へ投資の呼びかけをしていき、カンボジア国民を助けて頂けるような投資が数多く来ることで、雇用機会の創出に繋がることを期待しております。
さて、カンボジアでの外資企業の現状ですが、私たちの調査報告では、現在500から600社の外国企業が事業を行っていて、縫製業、観光業、ほかサービス産業など各分野に亘り投資が行われています。そこで働いている労働者数は50万から60万人と認識しています。
これらの数の企業に雇用が生まれ、労働者が従事し、労働者ひとりの仕事が生まれる事によって、家族を養う事にもなっているのです。以前と較べれば国民の生活が良くなってきている事は大変喜ばしい事です。
労働者によるストライキの問題は、過去の状況と現在では大きく変ってきております。殆どストライキが行われなくなった今の状況に、私たちはプライドを持っています。それは、雇用者と労働者の双方が労働法をよく理解し、双方が法に従って解決するように努力するようになったからです。労働法が理解される事によって安定してきたのです。当時を振り返って話しますと、当時は労働法が労働者の自由と権利を守るための法律であると思い、労働者が権利についてよく理解していなかった為に、労働法の下でストライキする権利を持っていることが特権視され、それによって労働者の権利主張が強くなっていました。
私たち政府、労働省はILO(国際労働機関)と協力して、労働者へ労働法の理解が広がるように教育し、その理解の結果として労使間が協議する事で互いに協調できる関係を築いてきたと言えます。勿論、ストライキなどの
労使間で問題解決が出来るように、カンボジア政府は働きかけています。最近、政府は八つの専門チームからなる「政府・民間フォーラム」を創設し、労働者に関する重要事項を扱う「職業関連チーム」と呼ばれる組織づくりを推進しました。いまではこのチームが政府・労働省の代表として労働者の権益や労働組合の義務に係わる多くの問題を協議しています。その組織は、各労働組合と雇用者側の委員会との間に立ち、双方で話し合いをさせ、話し合いの結果から同意を得て、協定調印までもっていくようにしています。労働法は1997年制定されましたが、今は当時の状況と遥か遠く、10年前の状況との違いを労使双方の委員会の話し合いの中から、解決方法を探り、互いに合意できる様に上手く進めています。この様に労働組合と雇用者の間で解決するように努めています。
カンボジア労働者、労働力の状態を良く理解頂いた上で、カンボジアに日本企業の直接投資が誘致できれば大変嬉しく思います。日本は高度な技術をもって発展した国であり、言い換えれば日本は私たちカンボジア国民へ高度な影響を与える事が出来る国であると言えます。殆どのカンボジア国民は、たとえ高価だとしても、高品質な日本製品を好み、使おうとしています。製造業は高度な技術をもって生産している、私たちの「憧れ」なので、カンボジアに進出していただければ言葉に表せないくらい嬉しいことです。
カンボジアの労働力は年々増加しています。カンボジアの人口増加率は、日本と較べて非常に高く、労働力供給は不足することなく、企業家の要望に充分に応える事が出来るでしょう。唯、技術を有した人材となると、まだ問題が残っています。カンボジア政府及び民間機関は職業訓練センターなどを設立し、人材育成を行っています。更に、雇用機会を創出してくれる投資企業の要求に応える為にも、職業訓練センターを増設していく努力をしています。近隣諸国と比べても、カンボジアは充分な労働力を抱えていますが、技術者や専門知識を持った人材はまだ充分とは言えません。しかし、人材育成を推進する事で海外投資家の要求に応えられる様にしていきたいと考えています。
4.カンボジアの工場労働者の80%以上が地方や農村部の出身で、総人口の内、農業就業人口は約70%を占めると聞いています。そうなると、地方や農村部での雇用創設も重要になってくると考えますが、所謂、アグロ・インダストリーや農業開発分野への直接投資誘致も必要であると思います。大臣の意見を聞かせてください。
私は、カンボジアの農業分野に対して非常に関心を持っています。現在、カンボジア政府は農村開発政策に重点を置き、農業インフラ整備をしています。何故ならば、カンボジア国民の大多数が農村部に住んでいるからです。従って、この地域の雇用機会を増大させる事は重要な事であり、カンボジアの貧困対策に直結する事なのです。カンボジアには数百ヘクタールの農地があり、その可能性は大きいのですが、使いきれているとはいえません。その能力を発揮させ、農村部の発展の鍵となるのは水利、即ち灌漑整備が重要なのです。雨期、乾期を通して作付けが可能となり、収穫量が増加すれば雇用の拡大に繋がり、農村部の経済的、社会的安定が得られると考えています。カンボジアの農地全てで二期作や二毛作が行えるようになれば、経済安定に大きく貢献するでしょう。 カンボジアの農民はみな稲作が得意で、充分な経験を持っています。しかし、農民にとっての現状の問題点は、充分な肥料を手当てする資金と農業用水を確保する方法なのです。
労働省は合法的に海外への労働者派遣を推進する為に省令を制定し、現在17、18社の労働者派遣企業が登録され、主にマレーシア、韓国、タイへ労働者を派遣してきています。派遣されている労働者の人数はマレーシアへ10,000人、韓国へ4,000人、タイへ6,000人程となっていますが、それ以外の国への派遣人数はデーターがありません。
特に隣国タイとの労働者の問題は特別で、カンボジアの内戦時代に戦禍から逃れ、生活の為に、国境近くの多くのカンボジア人が不法にタイで労働を行った経緯があります。今ではカンボジアとタイとの間で労働者派遣の協定が結ばれ、合法的にタイへ入国し労働に従事しています。先程のタイへの6,000人は労働者派遣企業が派遣している人数で、合法手続きに則って個人的に働きに行っているカンボジア人が50,000人程います。
カンボジア政府、労働省としては、カンボジア人の労働力を受け入れてくれるマーケットを拡大して行くことを考えています。カンボジア人労働者は皆、韓国で就労する事を喜んでいます。それは、ほかの国よりも多くの賃金を得られるからです。唯、労働者派遣を拡大していく事が良いかと言えば、それだけではなく、契約通りの労働者として行くのか、人身売買や売春目的、契約以外の別の職に従事させる目的で派遣するのではないか、常に神経を使っていなければなりません。
日本はカンボジア人にとって特別な国、憧れの国です。日本へ行くことは天国へ行くようなものでしょう。経済発展し、技術や技能も優れています。但し、労働者の派遣は受け入れてくれませんので、日本はマーケットとして難しい点があります。日本の研修生・技能実習生受け入れ制度はカンボジアでの二年間の就業経験や訓練と実習後カンボジアへ戻ってから同じ職に戻る事などが基本条件となっているため、今まで見ているとなかなか難しいと感じています。しかし、現在日本は中国やベトナム、その他の国からの技能実習生を年間50,000から60,000人受け入れていると聞いています。私たちとしても、如何すれば日本へもっと派遣し、日本での職業訓練のチャンスをカンボジア国民へ与えることができるようになるのか、一生懸命取り組んで行きたいと思っています。
6.最後に、カンボジアへの直接投資や研修生受け入れを検討している日本企業へ大臣から提言をお願いします。
あらゆる面でカンボジアの状況は良くなってきています。しかし、私たちはその可能性を使いこなしてはいないのです。また、若い世代が育ち、専門学校や大学を卒業しても就職先が整っているとはいえません。是非、日本の企業家の皆さんに、カンボジアを投資先として選んで頂ける様に期待しています。
そして、若い世代や卒業生を日本へ派遣して、日本の技術や技能を勉強し、カンボジアへ戻ってから日本の投資工場などで雇用してもらいたい。日本で体得した日本文化や習慣、技術や技能を役立てながら働く事が出来れば、日本企業とカンボジア人労働者の双方に有益でしょう。しかし、先に話した通り、日本の受入れ条件は容易ではありません。そこで、日本政府に呼びかけて、カンボジア人労働者層の雇用機会の創出とカンボジア経済の安定の為にも、日本の受入れ条件を易しくしてもらい、出来るだけ多くのカンボジア人が日本で働きながら技術や技能の研修、習得が出来る様になる事を期待しております。 本日はお忙しい中、インタビューの時間を頂きありがとう御座いました。
ボン・ソォット労働・職業訓練省大臣
カンボジア工芸大学政治学修士課程卒
1989‐1990年:コンポンスプー州知事
編集部より:
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